“2人に1人がガンになる時代”の 先回り健康法 PART-3 対策編

2人に1人がガンになる時代。安心して生きるためには、この不安を解消する必要があります。PART2※では、ガンができる原因が主に”酸化ストレス”だとお話しました。PART3ではいよいよ、私達ができる3つの対策を解説します。※PART2 

ここでは、1酸化ストレスの発生を減らす、2酸化ストレスの被害を軽くする、3できてしまったガンの処理を適切にする(免疫力を高める)、という3段階で説明します。日々の生活にしっかり取り入れてください。 

1.酸化ストレスを避ける

ガンの元=酸化ストレスの発生原因は主に8つがありました。これらを全てゼロにできればベストですが、実際には不可能です。ですのでこれらできる範囲で減らしていくのがこ1つ目の目標です。それでは8つの原因について、無理のない避け方を一緒に考えていきましょう。

1つ目は加齢です。でもこれだけは誰にも止めることができません。ですので他の7つの原因を極力減らしましょう。

2つ目は喫煙やアルコールです。これはコツをつかめば比較的減らしやすいですね。たとえば友人とお酒を飲んだら翌日は飲酒を控えたり、飲むのは特別な日にして普段はあまり飲まないなど上手く調節しましょう。

3つ目は添加物や加工食品です。食べものを買うときは裏の成分を見て、保存料などの添加物が体に入るのを避けましょう。具体的にはハムやソーセージ、かまぼこなど肉や魚を加工して保存しているものには添加物が多く入っています。

4つ目は酸化した油です。たとえば揚げせんべいや油揚げ、天ぷらなどの揚げ油は製造過程で毎回油を取り替えていない恐れが高いです。これらを食べれば酸化した油をたくさんとることになります。。このように作る過程までちょっと想像力を膨らませて、怪しいものは避けるようにすると良いでしょう。

5つ目は紫外線です。日中屋外にまったく出ないのは難しいのでこれもゼロにはできません。でも帽子をかぶる、日焼け止めを塗るなどの対策をしてできるだけ浴びる紫外線を減らすようにしましょう。

6つ目はストレスです。世の中なんでも思い通りにはいきません。思いがけないことが常に起こります。でもそれも人生だとある程度受け入れることが必要です。また、いい人間関係を持つことはストレスをかなり軽減することがわかっています。自分にも他人にも完璧を求めず良い人とよい関係を作っていきましょう。

7つ目は過度な運動です。8つの中でも避けやすい原因ですね。ちょっときついと思った時には休み、気分のいい運動をするようにしましょう。

8つ目は運動不足です。過度な運動と運動不足はどちらも酸化ストレスの原因になるので、極端になりすぎるのはよくないのです。散歩やラジオ体操など軽い運動がおすすめです。

総合的に言うと、1つの原因を限りなくゼロに近づけるよりも、8つの酸化ストレス原因の減らしやすいところから減らしていくのが、ムリなく生活を見直すためのコツです。

たとえばお酒が好きで多少は減らすがゼロにはしたくないという場合には、添加物を極力気をつけるなど工夫して酸化ストレスを減らせるように見直してみるのがおすすめです。

以上のように8つのポイントに気を付ければ、酸化ストレスは減らすことができます。でも酸化ストレスは完璧にゼロにはできません。ですので次に、発生した酸化ストレスへの対策が肝心です。ここからは2つ目の対策『酸化ストレスの被害を軽減する方法』についてを説明していきましょう。

2.酸化ストレスの被害を軽くする 

2つ目は『酸化ストレスの被害を軽くする』です。

ガンをつくる酸化ストレスの8つの発生原因は努力すれば減らすことができても、ゼロにすることは不可能です。そこで酸化ストレスがもたらす害を減らすのが2つめにやるべきことです。

酸化ストレスは活性酸素によって起こります。活性酸素というのは、上の図のように遺伝子の中から電子を盗む、言わば”電子ドロボー”です。電子が盗まれて遺伝子が傷つくことによってガンは生まれます。

逆に言えば電子を盗まれなければ、遺伝子は傷つかないのでガンは生まれません。

そこで身代わりになる物質を用意して電子が盗まれないようにします。身代わり物質に被害に遭ってもらうわけです。この電子を守る身代わり物質を抗酸化物質といいます。

自分の財布を取られないために、周りに他人の財布を周りに置いておくというイメージに似ていますね。周りに置いておく他人の財布は多ければ多いほど、自分の財布は取られにくくなります。

抗酸化物質を食事でたくさんとることで、ゼロにはできない酸化ストレスの被害を常に軽くすることが重要です。このありがたい抗酸化物質には以下の3つのタイプがあるので紹介しましょう。

2-1.自分で作る“身代わり物質”

酸化ストレスの害を軽減してくれる身代わり物質には3つのタイプがあります。このうちまず1つ目は『自分自身で作る抗酸化物質』です。

私たちの体はとてもよくできていて、活性酸素(電子ドロボー)の発生をもともと想定しています。そのため遺伝子を守る身代わり物質の設計図(遺伝子)をあらかじめ持っているのです。

この設計図から作られる身代わり物質を抗酸化酵素といい、具体的にはSOD・カタラーゼ・グルタチオンペルオキシターゼなどがあります。難しい名前なので、名前を覚える必要はありません。しかしこれらを作るために必要な原料は、ぜひ覚えておきましょう。

それはタンパク質です。私たちの体はタンパク質を原料に身代わり物質を作って電子ドロボーから電子を守っています。そのため逆にタンパク質不足だと身代わり物質を作れないので、ガンになりやすくなるのです。

大切なタンパク質を食事で増やすの摂る時におすすめの食材は、たまご、青魚、鶏肉、脂肪分の少ないお肉です。またタンパク質は身代わり物質を作るだけでなく、血液を作るなど体を作る他の役割もあるので積極的に食事の中で摂りたいですね。

私の祖父は70代でガンで亡くなっています。祖父は生前、タンパク質を制限する食事をしていました。当時は私も高齢者は卵など食べ過ぎないほうが体にいいのかと思っていましたが、栄養の勉強をしてからこの食事法は間違っていたと知りました。

また。身代わり物質は運動をすると、体内で活性酸素が増えることに対抗するため作られやすくなります。ただ激し過ぎる運動より、散歩やジョギングなどの軽い有酸素運動がよいとされています。逆に運動不足だと身代わり物質は作られにくくなります。気持ち良い程度の運動習慣をつけるのがおすすめです。

3つのタイプの身代わり物質の1つ『自分自身で作る抗酸化物質』について解説しました。大事なのは、原料となるタンパク質を不足させないこと、そして適度な運動です。日々の食事の中でしっかりタンパク質を摂るようにしましょう。

2-2.他から盗む身代わり物質1

身代わり物質の2つ目は『他から盗む抗酸化物質』です。他から盗むとは、食事の中で食べ物から摂取するということです。そしてそれはビタミンです。ビタミンには多くの種類がありますが、その中でもビタミンA、ビタミンC、ビタミンEは特にこの働きを持っています。ではビタミンACEが摂れるおすすめの食材を紹介しましょう。

まず最初にビタミンAですが、これは緑黄色野菜に多く含まれます。具体的にはピーマン、にんじん、かぼちゃなど色の濃い野菜を選んで食べましょう。

次にビタミンCです。ビタミンCといえば、果物に多く含まれるイメージが強いですね。でも、おすすめ食材はパプリカやブロッコリーです。果物を絶対食べてはいけないわけではありませんが、なるべくなら野菜を選ぶようにしましょう。というのも果物には果糖が多く、果糖はとても太りやすいからです。肥満はガンの要因です。果物は口直しに少し食べるくらいにして、沢山食べるのは控えたほうがいいでしょう。

ビタミンEはアーモンドやピーナッツなどのナッツ類に含まれています。でも、ナッツを日常的にたくさん食べるのは難しいですね。そのためサプリメントをとることがおすすめです。

私のおすすめは、ビタミンを一通りすべて取れるマルチビタミンのサプリメントです。

ベースとしてマルチビタミンで下駄を履かせておけば、食事で野菜やナッツが食べられない日にも安定してビタミンを摂ることができます。もちろん野菜を食べることで、さらにたくさんの身代わり物質を摂ることができるのです。ぜひ質のいいブランドのマルチビタミンサプリメントを選んでとるようにしてください。

2-3.他から盗む身代わり物質2

身代わり物質3つ目は『他から盗む抗酸化物質』のファイトケミカルです。ファイトケミカルは様々な野菜や食品に含まれていて1万以上もの種類があり、ビタミン同様活性酸素の害を防いでくれる体に良い物質です。ここからはファイトケミカルが、どのような食品に入っているのか紹介しましょう。

まず紹介するのはポリフェノールという水に溶けやすいグループです。お茶に含まれるカテキンや、ブルーベリーや赤ワインに含まれるアントシアニン、大豆に含まれるイソフラボンなどがあります。

私は毎朝お茶に、カテキンの濃い抹茶を混ぜて飲んでいます。アントシアニンがとれる赤ワインは飲みすぎると逆に活性酸素を発生させるので、注意が必要です。

次に紹介するのはカロテノイドという油に溶けやすいグループです。にんじんに含まれるβカロテン、トマトやスイカに含まれるリコピン、緑の濃いものに含まれるルテインなどがこのグループです。

その他、にんにくに含まれるアリシン、大根やわさびにふくまれるイソチアシアネートなど色々な食品にファイトケミカルは含まれています。

でもこれだけ多くの種類があると、実際何を食べていいかわからなくなってしまいます。そこで、ファイトケミカルがとれるおすすめの食事法を紹介します。食材を5色(赤、紫、緑、黄、白)にグループ分けして、口にする色に偏りがないようにするのです。

赤はトマトやパプリカ、紫はブルーベリーやなす、緑はオクラやほうれんそう、黄色はニンジンやしょうが、白はにんにくや大豆、大根などが含まれます。

毎日3食の食事の中で、この5色の食品を食卓に並べるのを目標にします。1食で5色すべてを並べる必要はありません。

中でも日本人の食事には紫が少ないと言われています。私の場合は紫キャベツを酢漬けにしてザワークラウトのようにして食べています。

ファイトケミカルは、天然素材のサプリメントでない限りとれません。ですのでビタミンをサプリメントでとっている人も、これらを含む野菜や食品を意識して食べるようにしましょう。

3.免疫力を高める

ガンになる人が多い世の中で健康的にいるためにやるべきことの3つ目は免疫力を高めることです。

何百万台も車が走っていたら、事故を減らそうとしても必ず交通事故は起こります。同じように酸化ストレスの原因をどんなに減らそうとしても、被害を軽減しても、ガンは生まれてしまいます。

人間の細胞は37兆個もあるので、いろいろ手を尽くしても生まれるガン細胞の数は、1日におよそ5000個あると言われているのです。

ですから3つ目の対策として、ガンが生まれることを想定して、それをあらかじめ片づけるための能力(免疫力)を高めておきましょう。

ガンをやっつけてくれるのが免疫細胞です。私たちの体はガンができることを想定しているので、もともと免疫細胞を用意しているのです。

免疫細胞はガンを攻撃し、弱らせて捕まえて、片づけてくれます。

免疫細胞に元気に働いてもらうためには『食事、休息、運動』の3つが大切な要素です。それぞれについて要点を説明するので、あまり出来ていないことがないか、チェックしてみましょう。

3-1.食事

免疫細胞に働いてもらうためには、食事の質を高めることが必要です。具体的には前の章でお話ししたとおり、タンパク質やビタミンをしっかり摂ることが大切になります。

脂質や糖質は美味しいので不足しにくいですが、タンパク質やビタミンは多くの人が不足しがちです。特にタンパク質はガン細胞を攻撃するための免疫の武器にもなります。良質な脂肪分の少ないタンパク質やビタミンをしっかりとって、免疫細胞を元気に活躍させましょう。

3-2.休息

私たちの免疫細胞は、睡眠中のリラックスしたときに働くようになっています。私たちが普段頑張ろうと思ったときには、免疫力は働きをセーブして、他の目的にエネルギーを優先して使っています。

これはイメージで言うと、夜のオフィスビルでガードマンが37兆個もある部屋を1つ1つの見て見回りをしているようなものです。ガードマンである免疫細胞は、変な細胞を見つけるとやっつけてさらに見回りを続けます。

でも睡眠不足だと見回りが終わらず、ガン細胞を見逃してしまうのです。睡眠時間は免疫細胞が私たちの体を見回ってくれる時間です。日々しっかりと休息をとることがガンと闘うには必要なのです。

3-3.運動

運動をすることで免疫細胞に活力が出てきます。

激しすぎる運動ではなく、適度な運動によって免疫力が鍛えられるのです。

これらの『食事、休息、運動』の3つを意識した生活は免疫細胞に活力を与えます。いきなり3つすべてを完璧にするとのは難しいと思うのでは、この中であなたがおろそかにしているものを強化することから始めましょう。

4.まとめ

ここまでの知識を国立がん健診センターが出しているがん予防ガイドライン5つの注意点に沿ってまとめていきましょう。

がん予防ガイドライン

https://ganjoho.jp/data/public/qa_links/brochure/knowledge/301.pdf

まずは、タバコ・お酒です。タバコやお酒は酸化ストレスの発生原因です。これらはガンを起のもとになる活性酸素を増やしてしまうので、できるだけ控えましょう。

タバコやお酒をゼロにはできない人は、他の酸化ストレスの原因を減らしていきましょう。具体的には添加物が入った食べ物(加工食品)や酸化した油、紫外線、ストレスを避けること。そして過度な運動を心がけ運動不足を避けることです。

ガイドラインのお酒・タバコを見たら他の酸化ストレスの原因も一緒に思い出して、気をつけるようにしましょう。

3つ目は食生活の見直しです。活性酸素の害を減らす身代わり物質を増やすためにはタンパク質や野菜(ビタミン・ファイトケミカル)を食べる必要があります。

先ほど酸化ストレスの原因になると話した加工食品や添加物、酸化した油を控えた上で、タンパク質や野菜を積極的に食べましょう。このほかにも食生活の改善は免疫力や体重管理にも関係しています。

4つ目は運動です。適度な運動には身代わり物質が作りやすくなる効果があります。また、リフレッシュ効果もあるのでストレスの軽減になり、さらに肥満や血糖値の抑制にも繋がります。でも、過度な運動は逆に酸化ストレスの原因です。散歩など気持ちよい運動を生活に取り入れましょう。

最後は体重管理です。体重を適正にすると糖尿病を防ぐことができます。糖尿病になると免疫が妨げられ、ガン細胞が増えやすくなります。

さらに体重が重すぎることはそれだけでガンのリスクになります。肥満の人はおなかの中で二次胆汁酸が増えやすいことがわかっていますが、これは発がん物質です。つまり肥満そのものが発がん性を高めてしまうのです。

とはいえ痩せすぎも免疫力の低下など問題があるのでよくありません。あくまで過体重にならず適正体重を保つ体重管理をして食生活もしっかり整えるのが理想です。

以上がん予防ガイドラインの示す5つの注意点に沿って、今回の記事の内容を振り返ってみました。少しずつ、そして確実にこの学びを生活に取り入れて、ガンからあなたと家族を守ってください。