食べる投資 / 最善の食事とサプリメント PART-2 炭水化物

あなたは「炭水化物を摂らないことが体によいこと」と考えて、炭水化物を減らそうとしたことはありませんか?しかし、無理に炭水化物を減らしてみても、口寂しくなってついおやつを口にしてしまうのでは、元も子もありません。

炭水化物は仕事や勉強のパフォーマンスを上げるために必要な栄養素です。そのため、無理に炭水化物を減らすと、口寂しくなるのは自然な欲求ともいえます。炭水化物を上手に摂取することができれば、脳を元気な状態に保つことができ、炭水化物の摂り過ぎによる糖尿病や肥満、体の老化を避けることができます。

そこで、今回は炭水化物の役割や、理想的な炭水化物の選び方、摂り方について解説します。無理なく食習慣を改善するための方法も合わせてご紹介しましょう。

旅行先の土産物屋さんで店員さんとふざけ合う私

1.炭水化物が欠かせない理由

健康のコアとなる三大栄養素のお話、二つ目は炭水化物です。炭水化物は、ご飯やパン、麺類などに含まれる栄養素です。

1-1.炭水化物は脳の唯一のエネルギー源

炭水化物と糖は同じもののように混同されがちですが、炭水化物は糖と食物繊維でできています。ですので、ご飯などの炭水化物を食べるということは、炭水化物の成分でもある糖を摂取するということでもあります。

糖は、筋肉や脳のエネルギー源となり、体を動かすための不可欠な栄養素です。筋肉のエネルギー源としては、糖以外にも脂肪がありますが、脳のエネルギー源となるのは糖しかありません。つまり、糖は脳にとって唯一のエネルギー源となる重要な栄養素です。

1-2.炭水化物(=糖)が不足するとどうなるか

長い時間食事をしなかったりして必要な糖が不足すると、あなたの脳は燃料不足で悲鳴を上げてしまい脳神経系の働きにも影響が出ます。それでは困るので、体は他の物質から糖を作り出そうとします。これを「糖新生」といいます。

糖新生が起きると、三大栄養素の一つであるタンパク質が破壊されて糖になります。PART1でお話ししましたが、たんぱく質も重要な栄養素であり、糖新生によりタンパク質が減少すると体もメンタルもどんどん弱っていくのです。ですから炭水化物や糖を制限しすぎるのは、体にとって良くないことなのです。

このように炭水化物は欠かせない栄養素ですが、時として体に毒になることもあります。ではどんな場合に炭水化物が毒になるのか、次に説明しましょう。

2.炭水化物が「毒」になるとき

ご飯などの炭水化物を食べると、消化分解されてその中の成分である糖が血液を通じて脳や筋肉へ運ばれます。このとき、糖はゆっくり安定して供給されるのが理想です。そうすることによって、次に食事をするまでの間、長い時間燃料がもらえて脳は元気な状態を保つことができます。

糖の吸収をゆっくりに抑える役割は、炭水化物の中の食物繊維が担っています。摂取した糖が急激に血液に取り込まれないようブレーキとして機能するのです。

このように糖は脳にとって不可欠な栄養素ですが、毒にもなるというのは、この吸収のスピードが大きく関係しています。つまり、食物繊維が大きなポイントになるということです。

2-1. 脳はご褒美をがまんできない

仮に食物繊維の少ない炭水化物を摂取した場合、消化吸収のブレーキがきかないため、糖は血液に一気に取り込まれます。そうすると高血糖といわれる危険な状態に陥るのですが、脳はエネルギー源である糖が一気に大量に与えられたことをご褒美と認識してしまいます。

そして厄介なことに、脳は繰り返しご褒美を要求するようになります。タバコなど、体に悪いと分かっていてもやめられないのと同じようなメカニズムです。

現代は、糖が多く食物繊維が少ない炭水化物が好んで食べられるようになりました。多くの人の脳がご褒美を欲しがっているからです。口当たりがよく、いかにも脳が喜びそうな食品ばかりです。ここに危険が潜んでいるのです。

2-2.高血糖による3つのダメージ

急激に高血糖になると脳は喜びますが、体にはダメージとなりそれがどんどん蓄積してしまいます。これが「炭水化物が毒になる」ということです。高血糖によるダメージとはどのようなものかみていきましょう。

①血管が痛み体が老化する

糖はベタベタしており、血管内に貼りついてしまう性質があります。それによって血管の糖化と老化が起き、糖尿病が進行します。血管の全長は約10万㎞にも及び、体の隅々まで細い血管が張り巡らされています。糖尿病が進行するにつれて体中の血管が老化し、全身がどんどん老化していきます。

②脂肪として蓄積され肥満になる

また血糖値が急上昇すると、これを抑えるためインスリンが分泌されます。血糖値を下げるホルモンです。このときインスリンの働きで糖は血液から体の細胞に押し込まれ、脂肪として蓄積されます。つまり血糖値の急上昇は肥満の元にもなるのです。

③すぐに空腹を感じて食欲が亢進する

3つ目の問題は、インスリンの働きで血糖値が下がると、たとえ食事をしたばかりでも脳はエネルギー源である糖を欲してすぐに空腹になります。そしてまた糖の多い食品を食べ①〜③を繰り返す悪循環に陥ってしまうのです。

このような悪循環に陥らないためにはどうすればいいのでしょうか。もうお気づきだと思いますが、食物繊維が多い炭水化物を選べばいいということですね。次回は安全な炭水化物の選び方について説明します。

3.理想的な炭水化物の選び方、食べ方

炭水化物の役割と、血糖値の急上昇の害がわかったところで、理想的な炭水化物の選び方ととり方を解説しましょう。

炭水化物を安全にとるポイントは、血糖値を急上昇させないことです。その方法の1つは食物繊維が豊富に含まれている炭水化物を選ぶこと、そしてもう1つは血糖値の急上昇を抑える食べ方をすることです。具体的にみていきましょう。

3-1.安全な炭水化物の選び方

食物繊維には消化を遅くする働きがあるので、食物繊維が多い炭水化物では糖がゆっくり吸収され、血糖値の急上昇を穏やかにしてくれます。
それによって血糖値の急上昇から起こる数々の問題、血管の糖化、インスリンの過剰な分泌による肥満を防ぎ、お腹も空きにくくなり食欲も抑えられます。

①ご飯の場合

白米よりも玄米や五分づきがおすすめです。五分づき米とは、精米度が白米と玄米の中間の五分づきであるお米のことです。あるいは五分づき米の中に大麦を混ぜたり、押し麦を混ぜたりして食べるのもよいでしょう。

②パン、芋、麺の場合

白いパンよりもライ麦パンや全粒粉パンがおすすめです。芋類であれば、じゃがいもよりもさつまいも麺類ならうどんよりも蕎麦を選ぶようにしてみてください。

ただし蕎麦でも、小麦粉の繋ぎをたくさん使用している蕎麦には注意してください。可能な限り、本物の蕎麦粉を多く使用している蕎麦を選ぶのポイントです。

③お菓子やスナックの場合

お菓子はむき出しの糖とも言えるほと食物繊維が少ない食べ物なので、消化吸収が早く血糖値を急上昇させます。

ですので小腹が空いた時に食べるおやつには、加工の少ないもの。例えば甘さが少なめのバナナや、やはり甘さが少ない酸っぱめのリンゴ、ナッツなどを口にするようにしてみてください。飲み物であれば、砂糖を使っていない炭酸水やお茶などがいいでしょう。

3-2.安全な炭水化物の食べ方

食物繊維の多い炭水化物がよいとわかっていても、出先の食事で選べなかったり、すぐに習慣を変えられない人もいるしょう。そんなときのための次善策=血糖値を上げない食べ方をここでは紹介しましょう。

結論から言うと、食事でタンパク質と食物繊維の量を増やしてください。タンパク質は、食物繊維と同じく糖の吸収をゆっくりにしてくれます。また食物繊維が少ない炭水化物を摂るときは、他の食べ物で増量すれば理想の炭水化物をとったのと同じ効果が得られます。

ですから食事の時には、必ずタンパク質や卵、肉などを確保してください。サプリメントのプロテインを活用してみるのもいいでしょう。食物繊維の多いものは野菜です。もし野菜が取りにくい時は「ファイバー=食物繊維」のサプリメントをとるのものよいでしょう。

3-3.炭水化物を切り替える3つのコツ

理想的な炭水化物の選び方、とり方が分かったら今度はその実践です。食事を切り替えるコツとしては、頑張り過ぎないことが一番大切です。何事も張り切りすぎると結局続かず、途中で諦めてしまうことが多いものです。

無理ぜず時間をかけて食べ方を変え、家族と同居している人は家族の理解や協力も得られる形を作りましょう。時間をかけてゆっくり切り替える3つのコツを紹介します。

①時間をかけて切り替える

最初はまず主食の白米を→五分づきに変えることから始めてみてはどうでしょうか。五分づきへの変更に成功したら、少し大麦や押し麦を混ぜてみてください。それで家族から不満が出たら、一度五分づきだけに戻してみてもいいでしょう。

一人暮らしの方は家族に理解してもらう必要がないので、無理のない範囲で徐々に慣れていくようにしてみましょう。急がずゆっくり時間をかけて習慣化していくことをおすすめします。


②代わりの食べ物を用意する

切り替えの習慣化には、口寂しいときの代わりの食べ物を用意することも大切です。血糖値の急上昇のご褒美に慣れている脳は、血糖値を上げにくい炭水化物では物足らず、ご褒美の糖を求めて口寂しくなりがちです。

そのとき手を出すものが、食物繊維の少なく血糖値を急上昇させるお菓子や白いパンでは、脳の糖中毒はいつまでも治りません。

ですから口寂しさを紛らわすものとして、ナッツ、梅干し、甘さの少ない果物などを用意しておくのがおすすめです。ナッツは古いとカビが付いていたり酸化して体に悪いので、新鮮かつ無塩のものを選んでください。


③炭酸水、食器で気分を切り替える

飲み物は糖の入っていないお茶やお湯、炭酸水などがおすすめです。ジュースから切り替えて口寂しさを感じる時には、炭酸水はどうでしょう。私は自宅で炭酸水を作っていますが、清涼感があって飲みごたえもあります。また気に入ったグラスやカップを使うと口寂しくてもなんだか上質な感じがして気分が上がります。

このように少し工夫すると、気持ちを切り替わって口寂しさが紛れます。。飲み物に限らず、食べ物にも気に入った食器を用意して食事を楽しんでみてください。

4.まとめ

世間ではよく「ノンカーボ」とか言ってあたかも「炭水化物を摂らないことが体によいこと」というような風潮があります。 でも炭水化物は必要な栄養素でもあるので、避けすぎも害になります。

そこで今回は炭水化物の役割、血糖値の急上昇の害、理想的な炭水化物の選び方ととり方を解説しました。この知識があれば血管の糖化、老化、肥満、そして食べすぎを避けることができ、安心して炭水化物を摂ることができます。

切り替えのコツとしては、ゆっくりと時間をかけて切り替え、代わりのものを用意したり食器を工夫したりしてみると、より楽しく改善できます。健康レベルを高めたい、全身の老化を遅らせたい、無理なく食べすぎや肥満をさけたいと思う方は、ぜひ今回紹介した方法を試してみてください。

※最善の食事とサプリメント PART-3 油