食べる投資 / 最善の食事とサプリメント PART-3 油

あなたは食用油売り場で何気なく「サラダ油」を手にしていませんか?サラダ油は軽い口当たりでクセがないし、植物油なら健康にもいいと思われるかもしれませんが、あなたの健康にとっては実はベストな選択肢ではありません。

油は体に不可欠な栄養素です。でも、油の種類によっては生活習慣病の引き金となってしまうものもあります。

PART3では、油の役割とともに、避けたほうがいい油やとり過ぎに注意したい油、代わりに取り入れたい油について解説します。途中ではやや難しいと感じられるかもしれませんが、最後に具体的な油の選び方をまとめていますので、気軽に読み進めてください。

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1.油が欠かせない理由

健康のコアとなる三大栄養素のお話、3つ目は油です。

人間の体は約20%前後が油、すなわち脂肪でできています。もしかして「体脂肪は少なければ少ないほどいい」とか、「油の摂取は極力控えたほうがいい」などとお考えではないでしょうか?

実は油は生命の維持にも関わるような重要や役割を担っています。極端な制限は体に害になる場合もあります。まずは油の役割をしっかり理解して、正しい油のとり方を身につけてください。

1-1.油の5つの役割

油には次のような役割があります。

1つ目は体を動かすエネルギーの貯蔵庫としての役割です。主に筋肉を動かすために必要なエネルギーの供給源となります。

2つ目は体を保護する役割です。衝撃から骨や内臓を保護したり、体内の温度を適温に保ったりしています。

3つ目は栄養の吸収、運搬という役割です。ビタミンなどの中には水に溶けない性質のものがあり、油によって吸収や運搬を助けています。

4つ目は細胞膜の材料としての役割です。人間の体は数十兆個の細胞でできており、その周りの細胞膜は油でできています。細胞膜が悪い油によって劣化すると、全身の細胞が劣化してしまい、健康も損なわれてしまいます。

5つ目は体の微調整をする物質の原料としての役割です。具体的にはホルモンやホルモンに似た局所ホルモンなど、体のさまざまな機能を正常に保つ重要な物質の原料になります。

1-2.「油=毒」にしない食生活が重要

いかがでしょうか?油の大切さをわかっていただけたと思います。冒頭でも少し書きましたが、「油は体に悪いもの」とか「体脂肪は生活習慣病の根源」と考えられがちです。確かに、過剰な体脂肪は健康に良くないのも事実です。でも、油は健康を保つために不可欠な栄養素ですから、やみくもに摂取量を減らせばいいというわけではありません。

もうお気づきの方もおられるかもしれませんが、重要なことはやみくもに油を制限するのでなく、油が「害」になる場合を知ってそれを避けることです。では、どのような場合に油が有害となるのかみていきましょう。

2.油が「害」になる時

私たちが口にする油は、様々な種類があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。油の種類、メリットとデメリットを知って油が害になる場面を減らしていきましょう。

2-1.油の性質は脂肪酸で決まる

油は、グリセリンと脂肪酸という物質が結合してできたものです。グリセリンは脂肪酸と結合するための手を3本持っており、グリセリンと3個の脂肪酸が結合すると油になります。

脂肪酸には主に4つのタイプがあり、どのタイプの脂肪酸がグリセリンに結合するかによって油の性質が決まります。硬い油とは、硬い脂肪酸が結合した油のことで、柔らかい油とは、柔らかい脂肪酸が結合した油のことです。

2-2.油の種類による害

硬い油と柔らかい油のメリットとデメリットは表裏一体の関係の関係にあります。下の図をご覧ください。一番左(バター、ラード)から硬い順に油が並んでいますが、硬い油ほど血流を悪くさせ、柔らかい油ほど光や加熱に弱く酸化しやすくなります。

血流が悪くなると、

  • 心筋梗塞を起こしやすくなる
  • 代謝が悪くなる
  • 脳への血の巡りが悪くなる

などの悪影響があります。

また、油が酸化すると有害物質となり、体にとってさまざまな悪影響をもたらしてしまうのです。

このように、バターやラードは酸化に強く、加熱調理に向いていますが、血流にとってはあまり良くありません。逆に、青魚の油は血流にはいいものの、酸化が進みやすく、加熱や保存には不向きです。

2-3.サラダ油など植物油の害

現代の食生活では、コーン油や大豆油などの植物油がサラダ油として多く採り入れられています。植物性の油というと、体に良さそうなイメージを持たれるかもしれませんが、実はここに含まれる脂肪酸には炎症やアレルギー症状を促進するという怖い作用があるのです。

さらに、サラダ油は青魚の油に次いで酸化しやすく、サラダ油で加熱調理した揚げ物や炒め物を食べることは、酸化した油を摂取していることにもなります。


サラダ油や酸化した油は、体にどのような悪影響があるのか、次の章でもう少し詳しく解説します。

油の種類によってさまざまなメリットやデメリットがあることがお分かりいただけましたか?よい効果と悪い効果が入り乱れており、どの油を使えばいいのか少し混乱されたかもしれません。

でも怖がる必要はありません。まずここでは、油の種類により血流への影響酸化しやすさに違いがあること、サラダ油には炎症を促進する作用があることを押さえておきましょう。

続いて減らしたほうがいい油と増やしたほうがいい油を詳しく説明していきます。

3.減らしたほうがいい3つの油

油は重要な栄養素ですが、どの油にも何かしらの弱点があります。概要は前章で説明しましたが、そのまとめとして具体的に摂りすぎに注意したほうがいい油を3つご紹介しましょう。

3-1.サラダ油(コーン油、大豆油)

コーンや大豆から作られるサラダ油は摂りすぎると炎症やアレルギー症状を促進する怖い効果があります。つまり摂りすぎると動脈硬化など体へのダメージとなってしまうので、できるだけ摂りすぎないようにしましょう。

サラダ油には健康的イメージもあり、安く製造することができて食感が軽いため、食用油として多く出回っています。加工食品やお菓子にもサラダ油が使われており、ドレッシングやパンなど原材料に「植物性油脂」と書いてあるものはすべてそうです。

また、マーガリンやショートニングなどは水素添加という技術でサラダ油を固形状にしていますが、別の意味で毒性があるといわれています。

サラダ油を完全に避けるのは難しいかもしれません。でも、家庭ではマーガリンではなくバターやオリーブ油を使うようにしたり、外食ではサラダ油を使っている料理をできるだけ避けたりして、少しずつ体へのダメージを減らす食生活に変えていきましょう。

3-2.サラダ油の揚げ物、古い青魚

サラダ油や青魚の油は光や熱により酸化が進みやすい油です。ですから揚げ物などに使って加熱すると簡単に酸化します。酸化した油はガンや動脈硬化を引き起こす原因になります。

動脈硬化が進むということは、認知症や心筋梗塞、脳梗塞などの病気や、全身の老化にもつながるということです。このように酸化した油は毒性が強いので、意識して避けたほうがいいでしょう。

特に外食や惣菜屋、スナック菓子などの揚げ物は、同じサラダ油を繰り返し使っていることが多く、酸化した油が含まれていると考えたほうがいいでしょう。油揚げやがんもどきなどの食材も同様です。

また、青魚も古くなると油が酸化していきます。真空の状態で冷凍庫に入れておけば酸化を防ぐことはできますが、一般のご家庭ではやや難しいでしょう。

外食が多い方は酸化した油を完全に避けるのは難しいかもしれません。でも、家庭では健康に害のない油を使ったり、外食では使っている油を確認したりして、酸化した油を意識して減らしていくことをお勧めします。

3-3.動物油のとり過ぎ

バターや油の多い肉などの動物油は、酸化しにくいという面では大きなメリットです。でも、次の2つのデメリットがあるのでとり過ぎには注意が必要です。

1つ目は、血流を悪化させる点です。酸化の害ほどではありませんが、この理由で動物油もとり過ぎると体にはよくありません。

2つ目は、インスリンというホルモンの働きを阻害し、血糖値が下がりにくくなってしまう点です。血糖値が高い状態が続くと糖尿病が進み、気づかないうちに体を蝕んでしまいます。

ここでは避けたほうがよい油について解説しました。マイナス面だけをみると油は怖いと思われるかもしれませんが、よい油の選び方を理解すれば、食事を楽しみながら健康を維持することもできます。次章では積極的に食事に取り入れたい油を紹介します。

4.増やしたい2つの油、補い方

前の章では避けたほうがいい油を紹介しました。それに代えて積極的に食生活に取り入れたい油は、オリーブ油青魚の油です。 これらの油の選び方やサプリメントでの補い方を解説します。

4-1.上質なオリーブ油

加熱調理に使う油、ドレッシング、パンにつける油は、サラダ油に代えて上質なオリーブ油がお勧めです。

オリーブ油にもさまざまな商品がありますが、新鮮なオリーブを使ったもの加熱処理や溶剤により抽出されていないものを選んでください。このような上質なオリーブ油はオリーブの天然のよい香りがします。

パンには酸化に強いバターも悪くはありませんが、固形油の弊害を避けるためにメインはオリーブ油にして、時々バターなどを使う程度にしたほうがいいでしょう。

4-2.新鮮な青魚

食事が肉に偏ると、どうしても血流が悪くなってしまいます。心筋梗塞を発症した人のうち、週に一度でも青魚を食べていた人は救命率が高くなるというデータもあります。肉に偏らないように、青魚など血流にいい食事も積極的に取り入れてください。

さばやあじ、さんま、かつお、まぐろなどの青魚の中でも、大型の魚は水銀などの有害物質を蓄積していることが多いので、小型の魚を選ぶとよりいいでしょう。また、青魚の油は酸化しやすいため、新鮮なものを選んでください。

4-3.サプリメント・えごま油

新鮮な青魚を摂ることが難しい場合は、血流を良くする成分EPADHAを抽出したサプリメントで補う方法もあります。上質なサプリメントは真空の状態で油を抽出し酸化を防ぐ製法がとられています。サプリメントを選ぶ際は、値段だけではなく、こうした製法についてもよく確認しましょう。

また、シソの仲間であるえごまの種から抽出されたえごま油も血流を改善する効果があるのでこれもおすすめです。えごま油も酸化しやすいため、冷蔵庫に入れて早めに使い切ってしまう必要があります。

現代の食生活では、安価で大量生産できるサラダ油が多く使われていますが、オリーブ油や青魚などを取り入れることによって、サラダ油とりすぎの弊害を緩和することができます。

三大栄養素の中で油はやや注意点が多く、難しく感じられたかもしれません。最後に油の注意点のまとめをお伝えしますので、あなたの食生活をもう一度確認してみてください。

5.まとめ

体のコアとなる栄養素、PART3では油について解説しました。油の解説は聞きなれない用語や、油の種類による長所と短所が入り乱れているので、難しく感じられたかもしれません。意識していただきたいポイントを3つにまとめていますので、できるものから取り入れていきましょう。

①サラダ油、バター、動物油は減らす
バターや動物油は血液の流れを悪くするのでとり過ぎに注意です。またサラダ油のとり過ぎは体の炎症を促進して、老化も促進するので、減らしてほかの油を使うようにしましょう。

②揚げもの、古い青魚を避ける
外食での揚げ物はサラダ油を繰り返し加熱して使っている場合が多く、酸化した油をとるリスクが高いので、できるだけ避けるようにしてください。また青魚も酸化しやすいので新鮮でないものは避けましょう。外食やお付き合いの席などでやむを得ない場合もあると思いますが、コントロールできる範囲で摂る量を減らすことを意識しましょう。

③良質なオリーブ油、青魚(EPA)をとる
サラダ油やバターなどのデメリットを緩和するため、代わりに良質なオリーブ油や新鮮な青魚(EPA)を取り入れましょう。

食生活は体づくりの基礎になるものですが、今日からすぐに完璧を目指すのはたいへんですし、食事がストレスとなってしまっては元も子もありません。まずは、体によくないものを減らすことから意識してみてください。

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