「ガンは怖い」これは誰でも知っています。では「なぜガンができるのか」は知っていますか?ガンが検診で見つかった時にはすでに手遅れ、なんてことも少なくありません。そんな恐ろしい事態を避けるためにもガンには先手を打つことが大切です。そして正しく先手を打つためには「ガンは何故できるるのか」というメカニズムの理解が絶対必要です。
そこでこのPART2では、ガンとは何なのか、そしてガンが出来るメカニズムについて解説します。(これを理解した上で、次のPART3対策編で効果的に対策をとってください。)
1.ガンとは何なのか?
このPART2では、『ガンとは一体何なのか」「人はなぜガンになるのか』について説明します。ここでしっかりガンの正体を知ってもらえると、次のPART3ガン対策編で説明する内容が、ハッキリ理解できると思います。
1-1.大枠のイメージをつかもう
では、まずガンを大まかに理解しましょう。物事を理解するには、細かいことよりまず大枠でイメージをつかむことが大事だからです。
大きなイメージが掴めると細かい部分もすんなり理解しやすくなり、やがてそれは自分で自由に使える知識になります。ガンについても同じです。ガンはどんなものなのか、大枠のイメージをつかむことから始めましょう。
ちょっと東海道新幹線を例に考えてみましょう。新幹線という乗り物をまったく知らない人に説明するとします。その場合、何を伝えれば相手に伝わりやすいでしょうか。
たとえ、このように伝えたとします。
- 一両の長さ・幅・高さが何mか
- 重さが何トンか
- 動力モーターは何馬力で、時速何キロでで走るのか
とても正確で詳細な説明です。でもこの説明だと、新幹線がどんなもので自分に利用価値があるかどうか、相手には伝わりません。
では、もっと大枠のイメージがしやすい説明にしてみましょう。
- 東京と大阪を結ぶとても速い電車であること
- とても速いので、2時間半で東京から大阪まで行ける
- 太平洋沿いを走る。東京から大阪に向かう場合、左に太平洋が見える
- 運賃は2万円でお釣りがくる
いかがでしょう?このように大枠から伝えると、新幹線を知らない相手にも全体像が伝わりやすく、実際に自分も利用してみようかなと思えるのではないでしょうか。
このように大枠でイメージできる情報の方が、伝わりやすいだけでなく実際に役に立ちやすいのです。ガンについてもまったく同じです。ここからはガンとはどんなものなのか、大枠のイメージを説明していきましょう。
1-2.ガンってぶっちゃけ何なのか?
私たちの体は、ツブツブとした小さな細胞が集まって出来ています。この細胞の数はなんと37兆個もあります。実はこの1つ1つが生き物なので、体は37兆個もの生き物が集まった共和国みたいなものです。
この細胞の数は、毎日垢になって減るのですが、細胞は分裂して増えてもいるので、体全体の細胞の数は一定に保ち続けています。
ところが細胞分裂の途中で、傷ついたおかしな細胞が一定数必ずできてしまいます。中の遺伝子が傷ついた変な生き物=細胞です。これが悪性新生物=ガン細胞です。
そしてガンは細胞分裂を繰り返し大きく成長するのですが、ガン細胞の本当に恐ろしいところは、無制限にに成長してしまうことです。
正常な細胞には分裂する数をコントロールするブレーキがあるので、数が増えすぎることはありません。たとえば身長はある程度の大きさから急に大きくなることはありません。これは私たちの体が大きくなりすぎないように細胞分裂にブレーキがかかるためです。
しかしガン細胞はこのブレーキが壊れているので、無制限に成長してしまうのです。終いには私たちの体を乗っ取ってしまいます。恐いですね。。
さあ、ガンがどんなものなのか大枠のイメージをつかめたでしょうか?次の章では、「どうしてガンは手遅れになりやすいのか」について説明していきまましょう。
2.なぜ手遅れになるのか?
多くの人が健康を守るため定期的にガン検診を受けます。しかし何故多くのガンの発見が遅れて手遅れになってしまうのでしょうか?実はそれには2つの大きな理由があります。
2-1.健診で発見できるのは1cm以上のガンだけ
まず1つ目の理由は、今の医学ではある程度の大きさに成長したガンしか見つけ出すことはできないからです。具体的にはガンの大きさがおよそ1㎝くらいまで成長すると、検診でやっと発見できます。これはガン細胞の数でいうと、およそ1億個という大きな数です。
逆に言うとガン細胞の数が1億個に達するまでは、ガンがあっても検診でみつかりません。ですから検診で問題ないから自分は健康だと思っていても、すでに何百万何千万というガン細胞を持っているかもしれないのです。
1億個に達したばかりの時にガン検診を受けると運良く早期ガンとして発見されますが、その半分の5000万個だと見つからないまま「健康」と診断されてしまいます。これが1つ目の理由です。
2-2.ガン細胞はあっという間に増える
2つめの理由は、ガン細胞は『とても速いペースで増える』という恐ろしい特徴があるからです。2週間後には2倍、4週間後なら4倍の大きさになってしまうこともあります。そのような場合、検診時に5000万個で発見できなかったガン細胞は2週間後には1億個に達します。4週間後は2億個、なんと1ヶ月半後には4億個まで成長してしまうわけです。
発見しにくいのに、あっという間に恐ろしいスピードで増えてしまう。これがガンが手遅れになりがちな2つ目の理由です。
つまり検診は、受けないより受けた方がいいですが、検診を受けていれば絶対安心というわけではないということです。ガンを発見できた時は病院で治療を受けるしかありません。
素人の私たちにできるのは、ガンになる前の健康管理です。ガンにならないための先回りの行動が大事なのです。
次の章では、多くの正常な細胞が分裂している中でどうしてガンが生まれてしまうのかについて解説します。
3.ガンができる理由を知るのが予防の第一歩
ここからは私たちの体内に「なぜガンができてしまうのか」について解説します。私たちの体は、37兆個という膨大な数の細胞で出来ています。それら1つ1つの細胞の中には核があって、さらにその核の中には遺伝子が組み込まれています。ガンはここで生まれます。そのプロセスをみてみましょう。
3-1.遺伝子が傷つくことでガンは生まれる
遺伝子というのは、いわゆる細胞の設計図です。遺伝子(設計図)が何かのきっかけで傷ついたとします。すると遺伝子の命令で動いている細胞は形が変化して、元の細胞とは全く違った細胞になってしまいます。これがガン細胞です。
ではなぜ遺伝子に傷がついてしまうのでしょうか。その最も大きな原因は『酸化ストレス』です。そして酸化ストレスは活性酸素によって起こります。この怖い活性酸素とは何なのでしょうか?
3-2.酸素は危険を秘めたエネルギー
私たちの体は酸素をエネルギーとして使っています。しかしそもそも、酸素は有害なものでもあります。それは酸素が物も生き物も酸化させる危険な力を持っているからです。
金属が酸素の酸化力で錆びるのと同じように、細胞も酸素に出会うと錆びて劣化します。ですから古代の生き物は酸素の中では生きられませんでした。その怖い酸素のある環境でも生きられるように進化したのが私たちです。
でも酸素には有害な面だけでなく、有用な面もあります。酸素が持つ危険な力は、上手く使うことでエネルギーにもなっています。しかし一方で、その力はガンを引き起こす酸化ストレスの原因にもなるわけです。
この酸素が強力に変化したものを活性酸素と呼びます。活性酸素が遺伝子を傷つけるプロセスをここで簡単にみてみましょう。これを知っておくことが、ガンを防ぐための知識としてとても役に立つからです。
遺伝子は電子を持った原子からできています。活性酸素にはこの原子を奪う性質があります。(このため活性酸素は電子ドロボーとも呼ばれています。)
そのため酸化ストレスが起こると、活性酸素によって遺伝子の中の電子が引き抜かれてしまいます。これによって遺伝子に傷がつき、傷ついた設計図からガン細胞は生まれるのです。
つまり、ガンは電子ドロボーの活性酸素によって生まれるわけです。
ではこの酸化ストレス(=活性酸素の暴れる状態)を起こさない方法はないのでしょうか?『酸化ストレスはなぜ起こるのか』について、続けて解説しましょう。
4.ガンの原因、酸化ストレスとは
ここまでにガンの原因は酸化ストレスであること、その酸化ストレスは活性酸素(電子ドロボー)によって起こることについて解説しました。つまり、酸化ストレスを発生させないことがガン予防になるのです。
4−1酸化ストレスができる8つの原因
そこでここからは、酸化ストレス(活性酸素)が発生する原因について説明します。酸化ストレスには8つの発生原因があります。
- 加齢
- 喫煙、アルコール
- 加工食品(薬品、添加物)
- 酸化した油
- 紫外線、放射線、電磁波
- ストレス
- 過激な運動
- 運動不足
それぞれについて簡単に説明します。
1つ目の原因は加齢です。高齢になるほど体内で活性酸素は発生します。これは8つの原因のうち唯一、何も対策が取れない発生原因です。
2つ目は喫煙、アルコールの摂取です。お酒を飲むと、アルコールは肝臓で分解されます。この分解の過程で活性酸素ができてしまうのです。
3つ目の発生原因は、加工食品(薬品、添加物)です。薬の成分は体に効いた後、肝臓で無害化されます。薬の効果が時間の経過とともに弱まるのはこのためです。この肝臓が成分を無害化する時に活性酸素が発生します。着色料や保存料など食品の添加物も同じように肝臓で無害化されるので、活性酸素を生みだします。
4つ目の発生原因は酸化した油を摂ることです。揚げせんべいや油あげなど何度も繰り返し使用された油で揚げられている食品は、酸化した油(フリーラジカル)を多く含んでいます。この油も活性酸素の原因になります。
5つ目は紫外線や放射線を浴びることです。実は紫外線や照射線は酸化ストレスとなるだけでなく、遺伝子を直接して損傷する威力があります。結果として遺伝子が傷ついて設計図が崩れるためガン細胞が生まれるのです。
6つ目の発生原因はストレスです。ストレスは、心だけでなく体も蝕むだけでなく、ガンの発生にも繋がるのです。ストレスを感じると副腎という臓器から『抗ストレスホルモン』が作られます。これを作る過程でまず活性酸素が生まれます。さらにこの抗ストレスホルモンは最終的に肝臓で分解されますが、この時にもさらに活性酸素を生みだします。
7つ目・8つ目の発生原因は過激な運動、そして運動不足です。あまりにも過激な運動は活性酸素を生みだします。しかし運動不足だと活性酸素を消してくれる中和物質が作られにくくなってしまい、結果的に活性酸素が増えやすくなります。
4−2今すぐできる対策
ガンの原因=酸化ストレスの発生原因を8つ紹介しました。ガンを防ぐため、これらを減らすことは大切ですが、すべてゼロにすることは現実的には無理でしょう。
例えば誰も加齢は避けられませんし、紫外線を避けるためにまったく屋外に出ないことも無理です。タバコやアルコールを控えることはできるかもしれませんが、ゼロにするのは好きな人にとっては難しいことです。
ですから現実的には8つ全てゼロを目指すより、どれも少しずつ減らす心構えがおすすめです。例えば日焼けが避けられない時には帽子をかぶるなど、小さなことを積み重ねです。
またどうしても減らせないものが1つあったら、その代わりに他の7つを減らすように頑張るのもよいでしょう。このようにして、“少しずつ総合的にリスクを下げる”という考え方を持つことが大切です。(より積極的に活性酸素の害を減らす方法については、PART3でご紹介します。)
5.他の病気も老化も酸化ストレスから
酸化ストレスはガンだけでなく多くの病気の元となります。ここでは具体的に酸化ストレスがどのような不具合を起こし病気につながるのかを解説しましょう。
5−1. 外見が早く老ける
まず酸化ストレスが起こると、全身の細胞が劣化し老化が進みます。その結果白髪・肌荒れ・シミ・しわが増え、外見が大きく老けます。嫌ですね。いつまでも若々しくいたければ酸化ストレスを極力避けるべきです。
5-2. 高血圧、心筋梗塞の原因
外見だけでなく、体の中でもでも酸化ストレスで重大な変化が起こります。血管が劣化することで動脈硬化が起こります。その結果、全身への血流が悪くなります。すると体はなんとか血流を回復させようとして血圧が上がります。そのため高血圧になるのです。
さらにこの動脈硬化と高血圧は、心臓と脳の血管を損傷するので、心疾患(心筋梗塞など)や脳血管疾患(脳梗塞など)の原因になります。心疾患と脳血管疾患は日本人の死亡原因の上位4位と2位ですから、酸化ストレスの多い生活は死亡リスクの高い病気に繋がっていることがわかります。
要するに、ガンから遠ざかるために酸化ストレスを避ける生活をすると、様々な病気からも遠ざかることができるわけです。
5−3. 認知症、白内障、糖尿病
認知症もまた、酸化ストレスで脳細胞が早く劣化することで起こります。思い出は人生の宝物です。これが失われるのは本当に恐ろしいことですね。
さらに酸化ストレスは白内障も起こします。これは酸化ストレスの原因の1つ、紫外線の影響が大きいです。目の水晶体が紫外線で劣化して白くなり、視力が下がるのです。また酸化ストレスを受ける生活は、血管を収縮させ血流も悪くするので冷えも起こりやすくなります。
また糖尿病も酸化ストレスを原因に起こります。糖尿病とは膵臓でインスリンが作れなくなって起こる病気です。酸化ストレスが膵臓を劣化させてしまうのです。
このように酸化ストレスが万病の元であること、おわかりいただけたでしょうか。
“2人に1人がガンになる時代”の 先回り健康法 PART2原因編では、
- ガンとは何者なのか
- ガンの原因、酸化ストレスとは何か
- 酸化ストレスの8つの原因
- ガン以外の多くの病気も酸化ストレスによって起こる
について解説しました。
PART3対策編※では、この恐ろしい酸化ストレスを積極的に害を消す方法があるので紹介しょう。